マスクの効果 ≪施設長 樋口≫
冬になり日本全国で猛威を振るっているインフルエンザ。
神奈川県でも流行しているようで、
年末から現在にかけて心花春でも感染された方がいました。
現在は落ち着きつつありますが、まだまだ注意が必要です。
このインフルエンザの流行期になると多くの施設の職員はマスクを着用します。
このマスクの着用、当たり前になりすぎて効果を考える職員はあまりいないのではないでしょうか。
厚生労働省ではインフルエンザ予防に対するQ&Aを公開しているのですが、
実は感染予防でマスクの効果はほとんど書いてありません。
Q「インフルエンザにかからないためにどうすればいいですか?」
に対して
1) 流行前のワクチン接種
2) 外出後の手洗い等
3) 適度な湿度の保持
4) 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
5) 人混みや繁華街への外出を控える
と回答しています。
感染予防の方法に「マスクの着用」はないのか?と思わせて、
5)人混みや繁華街への外出を控える、の中で
『インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。』
という書き方でマスクについて触れています。
なぜこういう回答の仕方になっているかというと、
一般的な使い捨てマスクの繊維の隙間の幅は3~5㎛(マイクロメートル)ですが、
インフルエンザウイルスの大きさは約0.1㎛です。
つまり、ガバガバなんですね。ウイルスはマスクの繊維の隙間を通ってしまうのです。
ただ、インフルエンザは飛沫感染なので、感染者がくしゃみや咳で噴出したしぶきを食い止める効果は十分にあります。
くしゃみや咳で発する飛沫(しぶき)は1.5mから2m程度飛びます。
結構近いですよね。こんなに近くで過ごす人はそんなに多くありません。
だから厚生労働省もマスク着用を全面的に勧めるのではなく、
「人混みや繁華街への外出を控える」ことが予防になると書いているのです。
じゃあ厚生労働省はマスクの効果を認めていないのかというとそうではありません。
前述のとおり咳やくしゃみの飛沫は防ぐことができます。
このことは
Q「インフルエンザにかかったかもしれないのですが、どうすればよいですか?」
の回答の一文に
「2. 咳やくしゃみが出るときはできるだけ不織布製マスクをすること。とっさの咳やくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、顔を他の人に向けないこと」
と回答しています。
つまり、現在感染している人が他の人に感染させない為に着用することは有効だということです。
マスクを着用しているだけで「予防している気分」になってはいけませんね。
重要なのは感染者に近づかない事と、手洗い、手の消毒です。
空気感染すると思われているインフルエンザですが、
実際は空気感染ではなく、くしゃみや咳のしぶきによる飛沫感染と、
目や鼻などの粘膜にウイルスのついた手で触れる接触感染が主な感染経路です。
(空気感染も全くないわけではないそうですが)
ドアノブ、手すり、電車のつり革、誰かが触ったお店の商品、エレベーターのボタン、
普段街中や職場で何気なく触れているものにウイルスは付着しています。
鼻が痒いからとマスクを取って鼻を掻いたら意味ないんです。
インフルエンザのウイルスを運ぶのは空気ではなく、人なんですよ。