老朽化 ≪施設長 樋口≫
最近、最もホットな話題、憲政史上初の女性総理大臣として誕生した高市総理には、個人的に大きな期待を寄せています。自称政治ニュースをある程度チェックしている男ですが、高市総理の「ワークライフバランスという言葉を捨てて」や「馬車馬のように働く」といった発言を批判している人たちは、正直言って「何を言ったか」より「誰が言ったか」で判断しているだけなのだろうな、と溜息が出ます。私も管理者ですけど、あのシーンを見た時は「国のトップがこう言ってるんだ、よし自分も頑張ろう」と思いましたよ。
さて、そんなニュースの中、私が特に注目しているのは、医療・介護の現場への早急な対応です。高市総理もすでに表明していますが、次改定を待たずに何かしらの手を打ってくれそうですね。
また、あまり触れられませんが、日本各地に介護保険以前からある施設の老朽化も問題となっています。そういった施設をどうしていくのかも注視しています。
例えば、私が関わる施設「心花春」は、1979年から存在する施設で、築45年を超え老朽化しています。建物の老朽化だけでなく、昔の基準で作られたため現代の介護ニーズに合わない部分もあります。部屋が狭く動線が悪いことや、4人部屋では感染症対策が難しい点などです。こうした「時代遅れ」は、建物としての老朽化だけでなく、「社会的老朽化」と呼べる部分でもあります。
しかし、老朽化=廃止ではありません。定期的なメンテナンスや修理を行い、安全に使い続ける努力をしています。従来型の4人部屋特別養護老人ホームは、料金が安く、24時間365日介護サービスを受けられる点が大きな特徴です。洗濯やおむつなどの追加料金もほとんどありません。物価や光熱費が上昇する中、こうした施設は、まだまだ多くの人に必要とされています。
つまり、「時代遅れ」と「時代に必要とされる」は必ずしも矛盾しません。個人のプライバシーから、ユニットケアや個室化が進む中で、少し時代に遅れた施設でも、その価値を維持し、必要とする人々を支え続けることが私たちの役割です。
高市総理には、こうした介護現場の実情に目を向け、支援していただけることを期待しています。古くても、人々にとって必要な施設は、まだまだ社会にとって大切な存在なのです。

心花春(旧湯河原老人ホーム)開設時の案内と写真を見つけました。歴史を感じますね。


