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人助け ≪施設長 樋口≫

電車に乗りドア付近の席に座っている時、目の前にお年寄りが立っていたりすると
「席を譲ろうか」「他の人が譲るか?」「断られたらどうしよう」「声をかけるの恥ずかしいな」
などと散々考え、席を譲った後のあのくすぐったい気持ちがわかる人は多いはず。
家に帰って家族に話したり、今ならTwitterやインスタグラムでそのやり取りを報告したりする人もいる。
人に感謝された喜びを伝えたいのだろう。
人を助けた自分を知ってほしいのかも知れない。
皆にも行動してほしいと願ってということもあるだろう。

人を助けた後、行動を起こした自分に驚きや誇りを感じることがある。
この高揚感や達成感は普段感じる事がない。
人助けをすると幸福感が高まるという研究結果なんかもあったりする。

「だから人助けが出来る介護をやろう」って話ではない。
介護をする上での気持ちの話を書きたい。

自宅で介護を24時間している家族も、
施設で介護を何十人にしている介護職員も、
気持ちが折れそうになる時や
気持ちが切れてしまいそうになる時がある。
私も現場でずっと介護職をやってきた。
介護が「義務」や「業務」になった時、それは人助けとは遠く離れたものになる。
「義務」は逃れられず、全うしなければならない
「業務」は限られた時間で完了と成果を求められる。

時々思い出してほしい。

介護は人助けだ。

困っている人の困りごとを少しでも解消しようと、頭を使う、勇気をだす、奔走する。
人を助けるということに人は幸福感や誇りを感じる。
場所は電車の中でなくたっていい。
家でも、職場でも、介護が必要で困っている人を助けているのだ。

電車で席を譲ったあとのくすぐったいけど誇らしい気持ちを
日々の介護の中でも思い出してみてほしい。

時には「こんなに大変なのに怒らない自分って優しいなぁ」と自分に酔うのも決して悪い事ではないのだ。