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熱海市北部3校(桃山、伊豆山、泉)合併問題について ≪施設長 樋口≫

私は生まれも育ちも熱海市です。途中、各地を転々とした時期もありましたが、約20年前に熱海市泉地区へ引っ越して以来、現在まで泉で暮らしています。

この泉地区は、少し特殊な地域です。行政区分上は静岡県熱海市に属していますが、熱海市街地とは山々を隔てており、隣接する神奈川県足柄下郡湯河原町とは、細い川である千歳川一本を挟むのみです。そのため、最寄り駅は湯河原駅となり、買い物など、生活圏の多くは湯河原町に依存しているのが実情です。

また、地名にも「元宮上」や「元門川」などが残っており、かつてこの地域が湯河原と同じく「足柄県」に属していた歴史をうかがい知ることができます。泉地区と湯河原町は、過去に合併が検討された経緯もありますが、内閣総理大臣による現状維持の決定により実現せず、結果として頓挫しました。これは昭和30年代の出来事です。

さて、現在、少子化が進行する中で、熱海市において伊豆山小学校、桃山小学校、泉小学校の統合案が急浮上しました。この話を私が知ったのは11月のことです。地元メディアによれば、令和10年に統合される予定とされています。すでに我が家の子どもは卒業していますが、在校生の保護者の皆さんにとっては、突然の知らせで大きな驚きであったことと思います。

そのような中、地域住民および保護者を対象とした説明会が開催され、私も参加してきました。ただ、何も知らずに臨むわけにもいかないため、事前に資料を調べてみました。

熱海市が公表している「学校等施設の適正規模・適正配置計画(令和2年)」によると、伊豆山・桃山・泉の各地区に関する方向性は、以下のとおり示されています。

伊豆山と桃山には統合の話が出てきています。桃山は第一小と統合が既定路線でした。一方泉は湯河原への流出は防ぐぞって内容でした。

具体的には、以下のように泉小学校は書かれていました。

市街地から遠くほぼ神奈川県みたいな地域なので、合併には慎重で「義務教育学校」への移行が最有力だったということですね、

この計画は令和4年に改訂されます。現状この令和4年改訂版が最新版のようです。

そこには、

上記のとおり伊豆山小学校および桃山小学校については、第一小学校との統合に向け、令和7年度から取り組む旨が記載されています。一方、泉小学校については、引き続き義務教育学校への移行が最有力とされていました。

伊豆山・桃山両地区については、以前から統合の話が持ち上がっていたこともあり、保護者や地域住民の間でも、今回の動きに対する驚きは比較的小さかったのではないかと思われます。これに対し、泉地区では、義務教育学校への移行が進められるものと多くの人が認識しており、学校統合を想定していた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。

実際、令和7年3月に改訂された「熱海市公共施設個別施設アクションプラン(第Ⅱ期)」(公共施設の設備更新やインフラなどに係る計画)には、泉小学校について、令和8年度に約5,500万円を投じてLED化工事を実施する旨が明記されています。将来的な廃校や用途転換が決まっていない施設に対し、これだけの規模の投資が予定されていることを踏まえると、少子化の進行を考慮したとしても、泉小学校が統合対象になると想像することは容易ではなかったと言えるでしょう。もしかするとこの令和7年3月時点では統合の対象ではなかったのかもしれません。

それらに加え、「学校等施設の適正規模・適正配置計画」における〈本市における基本的な適正規模の考え方〉では、次のように示されています。

この文章により、この件については慎重な議論が重ねられるものと、多くの人が考えていたのではないでしょうか。ところが、前述のとおり、突如として伊豆山・桃山・泉の三校を統合するという話が持ち上がりました。

個人的には、少子化や教員の採用難など仕方がない面もあると受け止めつつも、検討の場である「熱海市学校統合検討委員会」の議事録を読むと、少なからず違和感を覚えました。議事録には、例えば次のような発言が記録されています。

「地域に学校や幼稚園がなくなると人口流出が止まらず、より地域が廃れてしまうという意見については、学校がなくなることによって地域が駄目になってしまうとは考えておらず、学校は子どもの施設であるため、統廃合の問題である」

この発言を読むと、「基本的な適正規模の考え方」に記されている、学校が地域コミュニティの形成に与える影響を踏まえるんじゃなかったんかい、とツッコまざるを得ません。

また、その議事録には

「泉小中学校の保護者の意見は、移住者の意見が強いのでは」

「泉地区の意見もわかるが、大人の理屈になってないか」

「(話し合いを)すでに一度合同で行っているが、その時意見をいただけた方が偏っていた」

など、泉地区は委員の皆さんの目の上のタンコブ、ノイジーマイノリティ状態。

まぁ、そんな事前情報を入手し、お呼ばれした説明会へ参加。あの説明会の議事録ってでるのかな。なかなか皆さんイラッイラの話し合いでした。まぁ泉地区の皆さんは満場一致の大反対(そりゃそう)。まぁ急すぎるって意見。そんで、説明するはずの事務局もなぜかイラッイラ。泉地区の反対のせいで話が進まないからか。

「時代の流れだから仕方ない」。

確かにそうなんですよね、便利な言葉です。この言葉はだいたい何でも流せますし。

ただ、少子化はすぐには止められないけど、せめて「青天の霹靂」ではなく、「やっぱり、そうなるかぁ」くらいの天気予報は出してほしかったなぁ。急な話だからこそもっと丁寧に進められなかったのかなぁ。

というのが正直な感想です。

泉は、熱海なのか湯河原なのか、観光客もよく間違える、歴史的にも少しめんどくさい地域です。

全国でも公立学校の統廃合が相次いでいるのは地域の方々も保護者の方も、たぶんわかってる。揉めに揉めてる統廃合問題も致し方ない側面があることもわかっているでしょう。

だからこそ、この地域に子どもが育つ風景を、これからの時代どう作っていくのか。

その議論が、結論ありきではなく、今ようやくスタートラインに立った。

そう信じたいところです。