ブログ

生産性の向上?? ≪施設長 樋口≫

今介護業界は、最新鋭のセンサーやカメラなどのIT、ICT機器の導入による「生産性の向上」がうたわれていますが、「介護に生産性をもとめるな」と生産性の意味も分からず叩いている人もちらほら。

別にその人達に文句言うつもりはないのですが、そういう最新のセンサーやカメラなどの物に頼らず一回原点に戻ることも生産性の向上につながるってことを書きます。

一番よくわかるのは「食事介助」。

1人で上手に食べられない、食べこぼしてしまう利用者がいます。世の多くの介護職が「服が汚れないように」と利用者にエプロンを付けさせます。

それでも上手に食べられないのでエプロンが汚れてしまいます。エプロンの洗濯の手間、食事摂取量の低下を懸念してからか、介護職は食事介助をはじめます。大体20分~30分くらいはかかるでしょうか、職員が一人ほぼ付きっきりで。

そしてこの利用者は申し送りで「全介助」と引き継がれます。

上記は「服が汚れて着替るという手間を省く」ための思考がスタートなんでしょうが、エプロンにこぼしてしまうから介助を行う前に「この人はどうやったら自分で上手に食べる事ができるのか」に目を向けるとたくさんの事が考えられます。

手の機能の問題なのか、食器の問題なのか、スプーン?姿勢?視力?

この人が一人で食べられるようにいろいろ考え、PDCAぐるぐるやって、何とか一人で食べられてこぼす量が減ったら、職員の労力を使わなくて済むようになります。20分付きっきりの時間が浮くのです。

少ない労力で成果を上げる。これも生産の向上です。

自分で食べたい、食べられる、を叶えてあげる、実はこれらは介護保険制度の目的である「尊厳の保持」と「自立支援」そのもの。

そんなに高いセンサー買えない、最新の機器なんか使えない、人相手なんだから生産性の向上なんか考えるのはおかしい、って人も理解できましたね。

「介護に生産性を求めるな」って人こそ、まず自立支援をちゃんとやりましょう。どうやったら生産性があがるのか考えなくても勝手に生産性上がりますから。

どうも介護現場で働く人はこれを忘れてすぐに手をかけて「全介助」などという言葉にしてしまう。

違うよ、それは「過剰介護」っていうんだよ。