ブログ

背景がわかれば捉え方が変わる ≪施設長 樋口≫

人は何かが起きた時、自分の中の「ものさし」でその何かを判断するしかありません。
限られた情報を自分のものさしで測り、善悪などを判断します。
しかし情報が増え背景がわかると大きく考え方が変わる事があります。
例えば
“A君がB君を殴り、怪我をさせてしまいました”
これだけでは「殴ったA君が悪い奴だ」となるでしょう。
それが、
“A君はB君から日常的に殴る蹴るなどのイジメを受けていた。その日B君はA君のお弁当をゴミ箱に捨て笑っていた。母親が作ったお弁当を捨てられ怒った
A君がB君を殴り、怪我をさせてしまった“
という背景があったらどうでしょう。
大きく捉え方が変わると思います。
で、これが介護と何の関係があるのかというと、
私は介護をしている人が認知症の人にイライラするのは認知症の事を知らないからだと思っています。
どこかへ行ってしまったり、トイレじゃない所で排泄をしたり、夜寝なかったり、
何も知らずこれだけをやられてしまうと介護している人が疲れてしまいます。
時にイライラだってするでしょう。
でもこれはアルツハイマー型認知症の見当識障害により引き起こされているものです。
時間や場所、物、人の認識が正しくできなくなるため起きる行動です。
他にも見当識障害では鏡に映った自分を自分と認識できずに一生懸命話しかけたりします。自分の中では「自分はもっと若いはず」なので鏡に映ったお年寄りを自分とは認識できない事があるのです。
「子供がもうすぐ学校から帰ってくるから家に帰ります」も介護現場ではよく聞く言葉です。
認知症の人の中では自分はまだ若く、子供もまだまだ小さいのです。時間や人の認識が正しくできない為に起きることで、こういった症状は日本中どこの介護施設でも同様に聞かれます。
日々起きる認知症の方の行動や発言には理由がありおおよそ説明がつくものが多いのです。
認知症とその人の生活歴や人生を知れば、行動や発言の背景がわかります。
少し学ぶだけで自分のものさしがグッと長くなるのです。
かくいう私も新人の頃は認知症の方の「あそこに男の人がいるよ」に幽霊が見えているのかとビビったもんです(笑)(レビー小体型認知症ではよくある事ですね)
みなさんの周りに「トイレの水が勝手に流れた!」っていう人いません?(笑)
これも知れば「なあんだ」で終わる話ですね。