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「不祥事のあとに『介護をやりたい』」に憤る空気への違和感 ≪施設長 樋口≫

さぁ新年度になりました。施設の桜もすでに葉っぱが見えてきています。

ツバメも見かけるようになったので、今年もリビングを作っておきました。

内見には来ますがまだ賃貸契約までは至っていません。

さて、また芸能人の不祥事が話題になり、「介護の仕事に就きたい」と語るケースが出てきていますね。

以前も書きましたが、これに対して批判的な声が上がるのは、気持ちとしては理解できます。「介護は罰ゲームじゃない」「禊の場にするな」という意見ももっともです。

でも、私たちの仕事って、本来「福祉」じゃないの?

もちろん、薬物や犯罪歴のある人を採用するのは不安があるし、慎重になるのは当然です。

ただ、「介護をやりたい」という人を最初から排除する業界であっていいのか、という疑問もあります。

そして、介護の現場に「完璧にクリーンな人」だけが働いているかといえば、そんなことはないはずです。

言葉づかいが荒い人、ハラスメント気質の人、「なぜこの人が介護を?」と思う人、昔はだいぶヤンチャだった人、外国籍で日本語が不自由な人、どの事業所にもいろんな人がいませんか。それでも現場は回っているし、介護は成り立っています。

ずっと感じているのですが、介護という職業の社会的評価がなかなか上がらない背景には、業界全体やそれぞれの事業所が抱えてきた課題もあると思うのです。

根拠のない慣習とケア、スピード優先のケア、定時に「終わらせる」ことが目的化した介護、職員本位のやり方、昭和の価値観が残る現場…。こうしたものが積み重なって、専門職としての評価が伸び悩んでいるのではないでしょうか。

人手不足の中で処遇改善の手当がつくようになってきましたが、社会的評価が上がらなければ「もう改善しなくていいか」という空気になりかねません。

そうならないためにも、家族介護ではなく「専門職としての介護」を、根拠と知識をもって提供していく必要があります。正直これほど現場の知識のアップデートが遅れがちな専門職も珍しいと思ってます。

最近では無資格の方が「介護士」と名乗るケースも増えていますが、「士」がつくのは本来、弁護士・司法書士・税理士などの士業です。国家資格を持つ人は「介護福祉士」を名乗ります。

メディアも「無資格でも士業を名乗れる」というような誤解を招く表現は控えてほしいところです。

ただ、この「介護士」という造語の広がり自体が、介護福祉士の専門性の輪郭の曖昧さを結果的に浮き彫りにしているとも言えるでしょう。

話を戻すと、もし介護業界が「罪を犯した人は受け入れない」という方針を取るのであれば、それに見合うだけの理念と専門性を備え、「介護業界はレベルが高くて簡単には入れない」と思われるような業界であってほしいのです。

もちろん、実際に働いてみて「やっぱり難しい」となることもあるでしょう。そのときはお互いが適切に判断すればいいだけの話です。

最初から排除することは簡単。ただ、それでこの仕事の価値が高まるのかは、別の話だと思います。