今さら外国人材を語る ≪施設長 樋口≫

先日9月5日、6日に小田原にある国際医療福祉大学小田原キャンパスにて第39回日本看護福祉学会学術大会が行われました。
心花春からは、
「特別養護老人ホームにおける新たなおむつ利用による排泄ケアの取り組み
―利用者の安眠確保と夜勤業務の効率化を目指して―」
という題で事例発表を行わせていただきました。内容の詳細はここでは書きませんが、今流行りの生産性の向上とかいうやつです。

さて、世の中が「介護職が足りない」と言われて久しいですが、皆さんの事業所は人員は充足していますか?中には介護職員の半数近くが外国人材という事業所もあるようですね。
介護業界で働く外国人材の多くは、「技能実習」と「特定技能」のいずれかの在留資格で働いています。同じ外国人材ではありますが、この二つの制度は目的や仕組みが大きく異なります。
特定技能は、人手不足が深刻な業界で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。介護分野では即戦力としての活躍が期待されており、在留期間は通算5年間となっています。
一方、技能実習制度は、開発途上国への技術移転を通じた国際貢献を目的とした制度です。日本で身につけた知識や技術を母国へ持ち帰り、母国の発展に役立ててもらうことが本来の目的であり、あくまで「実習」が前提です。つまり本来は労働力の確保を目的とした制度ではありません。そのため実習期間中(3年間)は転籍(転職)が原則として認められず、この制度を悪用した一部の受入事業者による劣悪な労働環境が社会問題となりました。
こうした反省を踏まえ、技能実習制度は廃止され、令和9年度からは「育成就労制度」へ移行する予定です。一定の条件を満たせば転籍も可能となり、外国人材がより安心して働ける制度へと見直されます。これまで実習生だからと不当に日本人より低い待遇で働かせたり、劣悪な住環境を強いたりしてきた事業者は、これからは外国人材から選ばれなくなっていくでしょう。まぁ自業自得です。
また、SNSなどでは「外国人は安く雇える」といった話を見かけることがありますが、それはおそらく前述の技能実習制度で日本にきた外国人の事であり、特定技能制度には当てはまりません。特定技能外国人は日本人と同等以上の報酬を支払うことが義務付けられており、住居の確保や生活支援なども必要となるため、実際には日本人を雇用するより時間もコストもかかります。
介護現場の人手不足は今後さらに深刻になると予想されています。その中で外国人材は、単なる労働力ではなく、介護サービスを支える大切な仲間になっていくはずです。そのためにも、「技能実習」「特定技能」「育成就労」の違いを正しく理解し、外国人材を単なる人手不足の穴埋めとしてではなく、一緒に利用者やお客さんを支える仲間として受け入れることが大事だと思います。
ちなみに、特定技能で働く外国人材は、日本語能力試験など一定の基準をクリアした上で来日しています。つまり、母国語に加えて日本語も使いこなす、少なくとも2か国語を話せる優秀な人たちです。人によっては3か国語を喋れる人もいます。
なお、静岡県民の私は静岡なまりの日本語しか話せません。秋田県民の祖父母とは、同じ日本語をしゃべっているはずなのに会話もままなりませんでした。そう考えると、少なくとも語学力では私の完敗です。
現在、特定技能外国人材を受け入れている業種では、「外国人材がいて本当に助かっている」と感じている事業所も多いでしょう。
外国人材を「出稼ぎ」といったイメージで見る人もいるかもしれません。しかし実際には、日本語を学び、介護の知識や技術を身につけ、日本で一生懸命働いている優秀な人材です。
世間のイメージと、実際に一緒に働いている現場の感覚には、少しギャップがあるのかもしれません。
だって2か国語喋れんだよ?



