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11月2日になにが? ≪施設長 樋口≫

いきなりですが、来る11月30日(月)に小田原のハローワークで開催される「福祉の仕事を知る懇談会」に、講師として登壇させていただきます。

社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 かながわ福祉人材センター

なんか、ひょんな巡り合わせからご依頼を受けまして、こういったことは基本的にあまり迷うことなくお受けしています。うまくいこうが、いかなかろうが、経験値はプラスなので。

なお、定員はそれほど多くないようなので、あまり緊張せずにできそうです。ちょっと違った角度から、福祉の仕事のやりがいや魅力を伝えたいと思っています。

また、湯河原町が配布している「広報ゆがわら」11月号の「湯河原町在宅医療・介護連携便り」にも記事を書いています。こちらは町の校正が厳しいので、樋口らしくない、いたって普通のことを書いています。そちらもどうぞご覧ください。

さて、「11月2日に大災害が起きる」「11月2日に第三次世界大戦が始まる」などの情報を目にした方も多いのではないでしょうか。実際、11月2日には大災害も世界大戦も起きなかったわけですが、そもそも、なぜこのような噂が流れたのでしょうか。これにはいくつかの要因があります。

まず、日本では細野防災大臣が国民に向けて「緊急要請」として災害時の備蓄を呼びかけたこと。時を同じくして、イギリス政府が10月22日に「Be Ready」キャンペーンとして、暴風雨・停電・サイバー攻撃などの緊急事態に備え、最低3日分の水と食料を家庭で備蓄するよう推奨したことも拍車をかけました。さらに、ロシアとウクライナの戦争をめぐる停戦期限の話なども重なり、「11月2日に何かが起きる」とSNSを中心に話題になりました。

もちろん、結果的には根拠のない噂として終わったわけですが、そもそも、なぜ人々はスマホやパソコンを持ちながら「調べる」ということをせず、不安になってしまうのでしょうか。

イギリスが備蓄を国民に呼びかけていたのは今回が初めてではありません。実はヨーロッパの国々でも、同じような備蓄の呼びかけは数年前から行われています。

例えば、スウェーデンでは2018年に「戦争や危機が起きた場合に」という冊子を国民に配布しており、2024年には内容を更新して再び各家庭に配布しています。

リトアニアでは2022年に防災意識を高めるキャンペーンを開始し、エストニアでも2022年に緊急事態への備えを呼びかけるガイドを発行、2024年には更新版を配布しています。フランスでも2023年には72時間分の非常用持ち出し品を紹介しています。

つまり、ヨーロッパでは数年前から、災害や戦争、停電などによってライフラインが途絶えた場合に備え、最低でも3日間は自力で生活できるようにしておきましょう、という取り組みが進められていたわけです。2025年にはEU全体でも危機への備えを強化する戦略が打ち出されています。

こうして時系列で見てみると、今回の話が11月2日に何かが起こるという予告ではなく、各国が以前から進めてきた防災・危機管理の一環であることがわかります。日本でも同様に、災害への備えを呼びかけているに過ぎません。

では、なぜこうした情報が「11月2日に大災害が起きる」「第三次世界大戦が始まる」といった話に変わってしまうのでしょうか。

私は、そこには人間の心理とSNSの仕組みが大きく関係していると思っています。

人間は、知らない情報や不安を感じる情報に接すると、冷静に事実関係を確認するよりも、まず自分にとって重大な情報かどうかを判断しようとします。特に「戦争」「大災害」「世界の終わり」といった言葉は、人の不安を強く刺激します。

そして、そこに「政府が備蓄を呼びかけている」「海外でも同じ動きがある」という事実が加わると、まったく根拠のない話であっても、何か裏があるのではないかと感じてしまう。実際には、それぞれ別の理由で行われている取り組みであっても、都合よく結びつけてしまうわけです。

さらに厄介なのは、SNSでは情報の正確さよりも、驚きや不安、怒りといった感情を刺激する情報の方が広まりやすいことです。冷静に「これは以前から行われている防災対策です」と説明する投稿よりも、「11月2日に何かが起きるらしい!」という投稿の方が目を引きますし、誰かに伝えたくなるのでしょう。

また、何度も同じ情報を目にしていると、それだけで本当のことのように感じてしまう心理もあります。最初は半信半疑だった情報でも、知人が投稿し、別の人が引用し、さらに誰かが解説しているのを見るうちに、いつの間にか事実として受け止めてしまう。情報の発信元が誰なのか、そもそも根拠は何なのかという部分が抜け落ちてしまうのです。

結局のところ、自分で調べるという行為には少なからず手間がかかります。一方で、誰かがわかりやすく説明してくれた情報を信じる方が楽ですし、自分と同じ考えの人が言っていることであれば、なおさら疑う気持ちも薄れてしまいます。

ただ、スマホやパソコンがこれだけ普及し、世界中の情報に簡単にアクセスできる時代になったからといって、私たちの情報を見極める能力まで自動的に向上するわけではありません。

ノストラダムスの大予言を覚えているでしょうか。1999年に世界が滅亡するという、あの有名な予言です。

今となっては「そんなバカバカしい話を」と思う人も多いでしょう。当時は本気で信じていた人もいれば、面白半分で話題にしていた人もいたと思います。

しかし、当時のノストラダムスと今のSNSは、ある意味で似ているのかもしれません。

かつては一部の人間が発信した情報を大勢が受け取る時代でしたが、今は何者でもない自分が全世界に向けて情報を発信できる時代です。

嘘や陰謀論に振り回される人がいる一方で、誰もが意図せずノストラダムスになり得てしまうのです。

今回の件に限らず、何か気になる情報を目にしたときには、まず一度立ち止まって調べてみる。誰が言っているのか、何を根拠にしているのか、ほかの情報源ではどう報じられているのか。

せっかく便利な道具を持っているのですから、誰かの言葉をそのまま信じるのではなく、自分で確かめる習慣を持ちたいものです。

ちなみに、今回の「緊急要請」に対して「国が備蓄を要請するんだから、国が用意しろ」なんて言っている人もいるようですが、そんなことをSNSで言えちゃう人は、好き嫌いもきっと多いと思うので、自分で用意した方が食べられるものがあると思いますよ。