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「介護施設に入れば、もっと安全だと思っていた」 ≪施設長 樋口≫

先月9月21日は敬老の日でした。昨今、長生きも珍しい事ではなくなってきたことや高齢者が増加していることから、自治体の「敬老お祝い金」や敬老の日のイベントが縮小される傾向にあります。これも時代っちゃ時代です。

そんな中、心花春では9月25日に敬老お祝い会をやりました。

手品や、

パントマイムなど、

日々忙しい中、準備や練習をしてくれる職員に感謝です。

集まってくれた利用者や入居者、職員が楽しく笑ってくれれば、それで敬老お祝い会の完成です。

長生きが珍しくなろうが、敬老イベントが縮小されようが、楽しんでくれる人がいればやるのです。

こういうイベントを作り上げてくれる人たちと働けていることに本当に感謝ですね。

さて、話は変わって、今回はいろんな介護施設が抱えるジレンマみたいな話を書きたいと思います。

私は、どんな仕事もギャップが少ない方がいいと思っています。

 

「この料理、メニュー表と全然違うじゃん…」

「通販で届いた商品が思ってたモノと違う」

 

ということは誰もが経験したことがあると思います。

 

介護施設でも同じように感じることがあります。

「施設に入れば、もっと安全に暮らせると思っていた」

「施設に入れば、健康になれると思っていた」

「施設に入れば、長生きできると思っていた」

もしかすると、施設に入るご本人やご家族の中には、そんなイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。

もちろん、施設として安全に暮らしていただくための環境を整えてはいます。

転倒しないように環境を整えたり、体調の変化を見たり、食事や服薬を管理したり、必要に応じて医療につなげたり。日本中のどの施設も、できることはできる限りやっていると思います。

でも、それでも利用者が転ぶことはあります。

病気になることもあります。

急に体調が悪くなることもあります。

食事を誤嚥することもあります。

これは、介護施設の介護が必ずしも不十分だから起こることばかりではありません。

そもそも介護施設は、病院ではありません。病院みたいな建物に医療スタッフやリハビリスタッフ、介護職員、定期的に訪問する医師など、病院みたいな雰囲気を出しますけど、病院ではありません。

病気を治す場所でもなければ、老化を止めることもできません(病院でも老化は止められませんが)。

介護施設で様々な治療ができたら、それはもう介護施設じゃなく病院なのです。

介護施設と病院は役割が全く違います。

介護施設は暮らす場所です。

できるだけ安全に暮らしていただきたいと思っていますが、「絶対に事故を起こさない」はどんな施設でも不可能です。

転ばないように、ずっとベッドにいてもらえばいいのか。

転ばないように、歩かないでいてもらえばいいのか。

誤嚥しないように、食べることを制限すればいいのか。

そういうことではないのも誰もがわかるはずです。

介護施設には介護職員が24時間います。

利用者の動きを感知するセンサーもあります。必要な介護用品や設備があります。

でもそれらは万能ではありません。

そして、個人的には「施設だから転倒リスクが低い」とも思っていません。

むしろ、施設の方が転倒する機会が多いんじゃないかと思うことすらあります。

例えば、

家の廊下は狭いです。リビングも手を伸ばせばテーブルや椅子、食器棚などに触れられます。

(画像はイメージ)

介護施設はどうでしょう。廊下に手すりはあります。でも広いです。

食堂にはテーブルや椅子がありますが、介助しやすいよう間隔を広く取っている施設がほとんどです。

(画像はイメージ)

もしかしたら畳の家だと這って生活されている方もいるかも知れません。でも介護施設の多くは床での生活に対応していません。

そして介護職員は利用者20人~30人に対して数人。

歩いている時、床につまずき、何かに寄りかかれたり、つかまれる可能性が高いのはどちらでしょう。

(画像はイメージ)

 

そのうえで、多少のリスクがあったとしても、自分で歩きたい人には歩いてもらいたい。

自分で食べたい人には、できるだけ自分で食べてもらいたい。

施設に入ったからといって、必ずしも安全で安心、というわけではないのです。

ただ、確実な事は一つあります。

介護に追われ、心も体も疲弊していたご家族の「時間」が取り戻せます。

これは確実です。

心配せずに仕事に行けます。外出もできます。夜も休めます。

もしかすると介護施設の一番の役割はこの「時間」なのかもしれません。

 

今回の話は決して「介護施設に期待するな」という話ではありません。

介護施設に抱かれている思いと、介護施設の実際の部分で、可能な限りギャップをなくしたいのです。

そして、これは職員採用についても同じです。

 

「介護の仕事って、思っていたより大変だった」

「もっとのんびり仕事ができると思ってた」

「もっとキラキラしてると思ってた」

そんな「こんなはずじゃなかった」も、できるだけ減らしたい。

施設に入る前に、良いことだけではなく、施設で暮らすことの現実も知ってもらう。

働く前に、介護の仕事の大変さも、面白さも知ってもらう。

そのうえで、

「入所申し込みしようかな」

「ここで働いてみようかな」

と思ってもらえたら、そのほうがお互いに幸せなんじゃないかと。

介護施設は、老化が止まりいつまでも元気でいられる夢のような場所ではありません。

でも、決して悪い場所でもありません。

年齢を重ね、身体が思うように動かなくなっても、お風呂に入ったり、誰かと笑ったり、美味しいものを食べたり、のんびりしたり、テレビを見たり、たまにイベントに参加したり。

そんな普通の暮らしを続ける場所です。

そして、その普通の生活を支えるのが、私たちの仕事です。

福祉(ふくし)って

ふつうの、

くらしを

しあわせに

送るためのお手伝いなんですよ。

 

ちなみに、時々言われる

「え?施設長なんですか?」

については

きっと何かしらのギャップを感じていたり、違和感を覚えているのでしょうが、

良い意味で捉えていいのか悪い意味なのか、まだ私自身も分かってません(;´・ω・)